保護者代表のことば(5.22被害者救援委員会会長)
 
仙台育英学園 
5.22 I−Lion Day メモリアル 「安全と安寧のつどい」
保護者代表の言葉

仙台育英学園父母教師会
被害者救援委員会委員長
後 藤 精 哉
 
小生 自己紹介

 昨年のあの理不尽な言葉で言い表すことの出来ない悲惨な交通事故から早くも1年が過ぎようとしている今日、加藤雄彦校長先生はじめ先生方、生徒の皆さんがあの痛ましい交通事故を乗り越えられて、飲酒運転の撲滅を願い、安全で安心して生活できる平和な社会を創るような願いを持った、今日のような勉強の機会を作られたことに心から敬意を表するものです。
 仙台育英学園の教育にかける情熱や生徒一人ひとりの将来に向けての教育活動の成果を求めて努力している姿に保護者の一人として改めて感謝するものであります。
 一人の父親としてこの心のこもった教育を施す仙台育英学園の先生方に、真正面から信頼してついていく、自らを開拓していく子供達であって欲しいと願うのは、親として私一人だけではないと思います。
 私は、昨年の交通事故発生から1週間後、父母教師会の大学会長より被害者救援委員会を立ち上げることと委員長就任の打診を受けました。その時、私のなくなった父の遺言に「情けは人の為ならず」という諺を引用した教えを思い起こし、「人のために何か役立つようなことをしておけばやがて自分達にも巡りめぐってよい報いがあるという教え」を改めて実践してみようと心に決めて、この大役を微力ではありますがお引き受けしたことを思い出します。
 簡単ではありますが、この1年の委員会活動の経緯をこの機会に生徒の皆さんにも報告させて頂きます。
 委員長拝命後、今回と同じ様な事故が他の教育機関などにあるかどうか、情報を得ようと努力致しましたが、残念ながら同様な事故は日本国内において発生していない事が分り、委員会の支援活動はもとより仙台育英学園での対応も全くの手がかりのない手探りでの救援活動となってしまいました。
 さらには、加害者の運転車両に任意保険が未加入である事がわかり、自賠責保険だけでは被害に遭われた方々への治療費用等の対応が非常に遅れてしまう事が分ったのです。そのため、被害に遭われたご家庭に対し経済的支援等行う為に、父母教師会を通じ皆様に募金をお願いさせていただきました。
 この募金においては当初委員会で予想しておりました金額を遥かに越える2千万以上の募金を頂戴し、亡くなられた生徒さんのご家庭に弔慰金を、入院や通院をされた被害者の方々にお見舞金をお送りする事が出来ました事に対し委員会を代表し皆様のご支援に心より感謝し、御礼申し上げます。
 また、被害者救援委員の皆様には仙台市一番町での生徒会主催の飲酒運転撲滅運動への参加をはじめ、計7回の委員会会議へのご出席及び貴重なるご意見をいただきました。
 仙台育英学園におかれましては、委員会からの要望を真摯に受け止めて頂き、事故におけるフラッシュバックといわれる精神的傷害等に対する校内への臨床心理士の派遣を宮城県警本部や宮城県教育委員会の協力を得て相談活動を進めてもらいました。
 また、心の動揺の完全回復のために学校に常駐するカウンセラーの配置も要望いたしました。加藤校長先生はじめ先生方は、日本の社会に臨床心理士の絶対数が非常に少ないにもかかわらず、準臨床心理士を職員として配置していただきました。そして今後、事故発生から10年間継続し対応する事に応えていただくことになりました。
 更に長期入院された方々への補習授業及び被害に遭われた方が受けた傷病に最も適切な治療を行える東京の病院への入院治療の手配、治療及び交通費用の負担まで実直過ぎるほどの対応をしていただいておりますことの驚きと感謝は他に例のないことではないかと感じております。
 本日の「安全と安寧のつどい」において私が念願いたしますことを人生の先輩として申し上げるなら、生徒の皆さんが、社会人として生活していくとき、飲酒の機会を全て断れない事実はあります。しかし、飲酒後の運転は全て断る事ができるという事を心に強く刻み、仙台育英学園の卒業生が一人でも絶対に飲酒運転をしない、させないという使命感で生活していって欲しいということであります。5.22交通事故を決して忘れることなく青春時代の貴重な体験とし今後の社会に役立てる姿勢を堅持して欲しいと願います。
 今回の事故が他に類を見ない事故であった事から委員会活動が被害者の皆様に対し満足な対応をする事が出来たか、他にもっと良い対応が無かったか自問する日々が今も続いております。精一杯取り組ませていただいたようにも思いますが、これまでの取り組みの不十分さや数々の不手際につきましては、心からお詫びしお許しを頂戴できればと思っております。
 終わりになりますが、亡くなられた齋藤 大君、三澤 明音さん、細井 恵さんのご冥福を祈り、現在も治療中の方々の一日でも早いご回復を念じております。
 また、これまで救援委員会の活動に沢山のご協力ご支援を賜った方々への感謝と御礼申し上げ、5.22委員会よりの活動報告とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
 
 
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