仙台育英学園高等学校
校長 加 藤 雄 彦
 

 秋暑9月5日、仙台地方裁判所において午後1時30分から午後5時まで開廷された佐藤光被告危険運転致死傷罪に係わる第2回公判の記録を作成いたしましたので、ご覧いただければ幸いです。前回の初公判同様、専門職ではない複数の本学園職員が公判の内容を綴ったものですので、ご覧のみなさまの期待に十分添えない点があることをご了承ください。なお、証人の証言の一部に同事故の惨状が赤裸々に表現されている部分がありましたので、教育上の配慮から敢えて割愛していることもお伝えいたします。

 炎暑のなか、本学園父母教師会そして5.22被害者救援委員会の後藤精哉委員長を中心とする委員のみなさまの献身的な奉仕には心から感謝しております。亡くなられた3人の生徒のご遺族には最大限の気遣いをされながら今日まで対応いただいております。そのようななかで、ご遺族にはそれで十分ということはないと思いつつ、しかし我が身のこととして心を砕かれているお姿を拝見し、ただ頭が下がるのみです。本学園の5.22対策委員会の職員はじめ学園関係者も可能な限り、ご遺族の心情を大切にしながら少しでもお役に立つことができればと深慮しつつ、教え子たちの理不尽な死と向かい合って来ました。これからの長い道のりを思う時、関係のみなさまのご健康を憂いております。同時に、公判を通 じてこの痛ましい事故の原因と背景を一緒に分析し、探っていくことに努めていきたいと考えています。

 防災の日、9月1日に第1・2学年保護者あてに「地震等自然災害および安否情報に関する災害・緊急連絡システムの概要」に係るお知らせと生徒・保護者カードの作成願いを送付いたしました。このシステム構築にはIT関連の在校生保護者たちの多大な協力の下、事故発生直後の対応が本学園に対する疑問と不信に結び付いたことへの反省を活かしながら推進してきました。関連の資料を添付いたしますので、改めてご覧願います。

 10月1日付で本学園が認める臨床心理教諭の採用に関してお知らせができることとなりました。生徒の不登校などへのカウンセリングのみならず、死亡された生徒のご遺族はじめ被害者家族への「心のケアー」も可能な専任職員の採用にあたっては本学園が持つ総合力の結晶と考えております。今後は臨床心理教諭を中心に関係職員の協力を受けながら、より深度なカウンセリング体制を確立していきます。

 ご遺族はじめ入院・通院を今後とも必要とされる生徒とご家族には今後とも入院費、治療費の学園負担のみならず、そのお気持ちに沿って見舞金のお支払いに応じていきます。これまで事故車両に掛けられていた自賠責に係わる請求を被害者家族に代わって行ってきました。そのなかで、健康保険を利用されているにもかかわらず、自賠責での補償限度(120万円)を超えられ、被害者家族の負担に対応するため50万円を限度とした本学園規程による補助金を交付いたします。長期入院に伴う保護者の負担を少しでも軽減できるようにするための趣旨ですので、みなさまのご理解を切に願っております。これからも通 院を必要とされる生徒のなかには今後後遺症が心配されます。いままで、辛い手術や治療に耐えてこられたにもかかわらず、第2次・第3次の治療をお願いすることが生徒本人のみならずご家族にどれだけの負担となっていくかと思うと躊躇してしまう気持ちが先に立ってしまいます。しかし、彼らのこれからの長い人生を考えた時、後遺症なき完全回復を基本としている以上、改めて苦難に立ち向かってもらう覚悟を持っていただきたいと考えています。学業面 はもちろんのこと個々のケースに応じた支援を本学園は全力で行なっていきます。

 5・22交通事故は本学園の隅々にいたるまで多大なる衝撃と損失を与えてきました。そして、このことは今後の学校行事のみならず、教育活動全般 に影響を及ぼし続けるでしょう。日々の学園生活、年間計画、中長期の経営計画も含めてです。しかし、現在目前にあるものが膨大で無限的な広さを占めているために対応が遅々として進んでいないのではというご意見は謙虚に受け止めていきたいと考えています。

 初秋を迎え、第3学年生にとって人生の岐路となる大事な時期となりました。本学園に甚大な被害をもたらしたこの大事故が彼らの進路を揺さぶることのないよう細心の注意を払い、勇気づけながら、今日的課題の解決を図る所存です 。

(平成17年9月9日)
 
第2回公判の記録

地震等自然災害および安否情報に関する保護者との取り決めについて
【PDF,12k】

同窓会からの創立100周年記念体育着について(お知らせ)
 
 
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