育英通信92号 平成17年度 大学入試 詳報
topics



仙台育英学園高等学校平成17年度入学式
平成17年4月9日
宮城野校舎 体育館

 4月9日、宮城野校舎体育館「鵬翼」を会場に、『仙台育英学園高等学校 平成17年度 入学式』が挙行されました。入学者909名への加藤雄彦校長先生の式辞を紹介します。

■校長先生式辞(全文)
 「育英塾」はその名のとおり、頭のすぐれた青少年を教育したいという希望を持って設立されました。「頭のすぐれた青少年」とは生まれながらにして天才、英才という意味ではなく、コツコツと真面 目に学びたいと思っている若者たちのことをさします。世の中には、経済的に豊かな生活をしている人も貧しい人もいます。また、職業も千差万別 で人がうらやましいと思う仕事についている人もいれば、誰もがいやがり、引き受けたがらない仕事をしている人もいます。

 これらの貧富の差や、身分によって人を良くも悪くも評価する傾向が強まると、人間社会は窮屈で汚濁と腐敗まみれになってしまいます。今の日本は、そのような状況にあるように見えます。一方、学問をすすめ、より高いレベルの内容を、あるいは幅広い分野をゼネラリストのように、あるいは物事の真理を探求して深く掘り下げていく専門的視野を持つことを、各々の姿勢のちがいはあったにせよ、学問を大切にすることが社会を豊かにし、高い文化と誇りを持てる国家を築いていく要因になるのだと思います。

 勉強というとすぐにテストや受験対策のためにやるものと考えてしまう人がいます。いま、申し上げている「学ぶ」とは人間の持つ識見を向上させ、組織を活性化させ、けして特別 豊潤ではなくとも他の国から尊敬される独立した国を形成するために必要なものなのです。そのような国を目指すために短期的で近視眼的に身近な結果 に一喜一憂し、その瞬間楽しければいいというのではなく、長期的観点で幅広い視野に立った思考ができる人材を送り出そうと、仙台育英学園は創立以来努力してきました 。

  一見不器用で効率的でないようなことに仙台育英は力を入れています。後ほど生徒会の代表が紹介する本学園の生活信条です。互譲、切磋、練磨、規律、寛容、感謝、奉仕の7つの信条を入学された育英生に求めています。生活信条の実践をとおして、「人間の持つ自然なこころ」すなわち、まごころを尽くすこと、仙台育英学園の建学の精神では「至誠」が人間社会を潤いのあるものにしてくれると考えています。

 人間は決して一人では生きていけません。人と支え合って生きています。支えには経済的にとか、仕方ないけど義理でとか、政治的に得だからとか、計算しながらのサポートが世の中にはたくさん見受けられます。しかし、本当に求められているのは「まごころ」という支えではないでしょうか。悠久、普遍な事物として、天空に星があるように、大地には花が咲くように、人のこころにはまごころが必ずあるのではないでしょうか。

  先程も申し上げたように、テストや受験対策のための勉強といった短期的で近視眼的な態度を持った学問への取り組みでは、人間社会を豊かなものにはできません。

  もちろん、仙台育英学園では高等学校として学ばなければならないことは教えますが、それだけでは3年後社会に出ても世のため、人のために尽くせる人間とはなれません。100年の間、培ってきた生活信条を学び、みなさん方の心の中で育て、徳のある人間に磨き上げていくことこそ、この学園の使命であり、スピリットなのです。3年後、本当に仙台育英学園を卒業して良かった、と思えるような努力、苦労を共にしていきましょう。