第13号
 

 
アイ・チャレンジ125
  - 東日本大震災復興バージョン4 -


学校法人 仙台育英学園 理事長
加藤 雄彦
 
 ハマユウと白さを競う雲、そしてさんさんと海岸を照らす日差しがまぶしい沖縄県に去る4月27日、仙台育英学園高等学校広域通信制課程にとっては第3番目の拠点校となるIKUEI LEARNING CENTER 沖縄(通称ILC沖縄)が沖縄市胡屋交差点に所在するコザミュージックタウン内におかげ様で開校しました。
 当日の開校式及び第1回入学式には、沖縄市長様、中頭教育事務所長様はじめ開校に向けてご支援とご指導を賜りましたご来賓の皆様を多数お迎えして、第1期生となる72人の新入生そして保護者、さらに姉妹校であるILC宮城、ILC青森の教職員と生徒たちも参加して、琉球舞踊「かぎやで風」から始まり、開校の喜びと皆様への感謝の気持ちを共有することができたと考えています。
 今回入学した生徒たちの心の内には高等学校卒業資格を取得する、学び直しをする、あるいは全日制課程では得られない友人との出会いを期待する等、思い思いに自分の目標と希望があることと思いますが、第1期生72人が一人も途中で断念することのないようにILC沖縄の教職員が一丸となって彼らを支え、励まして参る所存です。
 さて、仙台育英学園高等学校には954人、秀光中等教育学校には47人の新入生を迎え、東日本大震災で被災した宮城野校舎も見事復興し、多賀城校舎と合わせて落ち着いた学園生活を取り戻すことができました。この場をお借りして、この復興事業を物心両面でご支援賜りました保護者、同窓生、他大勢の皆様に学園を代表して御礼申し上げます。
 ご存知のとおり、本県沿岸部の一部では復興工事、特に学校建築が未だ進んでいない現状があり、他校に間借り、あるいは仮設校舎での不自由な生活を強いられてる学校がいくつもあります。このような厳しい現実がありながら、本学園があの大震災発生から僅か2年間で蘇ったことは幸運であり、日頃からお支え下さっている皆様のおかげと痛感しています。
 しかしながら、2030年に学園創立125周年を記念して実施する計画であった宮城野校舎の再開発事業が大震災によって大幅に早まったことは予想外の支出をもたらし、さらには短期・長期の債務返済を招き、学園財政に極めて厳しい影響を与えているのも事実です。そのため、本年度の予算執行に当たって学園職員の人員見直し、経常経費削減のためのさまざまな方針、資金繰りの工夫等を行い、4か月経過したところです。おかげ様で前年度と比較して支出面での抑制に一定の効果が出ているのは明らかですが、極めて厳しい状況であることには変わりありません。収入面では保護者、関係者、学園職員等からの寄付金の申し込みも多数頂いていますが、引き続きご支援賜りますようにお願い申し上げます。
 平成27年度の事業計画を作成中ですが、2010年10月にアメリカ合衆国ハワイ州ホノルル市に開校したアイ・ライオンハワイスクール(ILHA)の教育活動を来年4月末にいったん休眠させ、同校に行っていた財政支援を停止せざるを得ないと考えています。これまでの研修内容と教育成果を考慮しますと残念で堪りませんが、正常な学園運営を継続していくために敢えて当分の間、ILHA研修をお休みしますことをご了承願います。
 一方、秀光中等教育学校は開校以来の夢でした宮城野校舎への位置変更が県当局の指導をいただきながら、来年春を目指して進めています。これによって、宮城野校舎は秀光中等教育学校と仙台育英学園高等学校特別進学・情報科学コース及び広域通信制課程ILC宮城が教育活動を展開することとなります。そして特色のあるランゲージ・ミュージック・サイエンスの三分野を教育の柱として確立するように努めて参ります。
 一方、多賀城校舎は外国語・英進進学・フレックス・技能開発コースに加えて国際バカロレアのデュアル・プログラムがスタートできるように準備を進めています。これが整いますとランゲージ・スポーツ・インターナショナルの三分野が教育の柱となり、二つの校舎が各々に独自の学習プログラムを生徒の皆さんに提供できる環境となります。
 これまで三十年間かけて時代の変化に対応しながら、本学園の教育環境、教育活動等を整えてきた努力が実る喜びを感じながら、道半ばの構想が未だ存在することのもどかしさを払しょくできるように挑戦していく所存です。
 改めて、本学園をご支援下さってきた関係者の皆様に感謝申し上げるとともに今後ともご高配賜りますようにお願い申し上げ、巻頭のご挨拶といたします。

 
 
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