2006 Topics  2005年度 演劇部 卒業記念公演
 







2005年度卒業記念公演
「I Love Youはひとりごと」
公演日:2006年3月30日、31日
会 場:エルパーク仙台

 
 演劇部 2005年度卒業記念公演が、3月30日、31日の両日行われました。現役の演劇部員はもちろん、大勢の演劇部OB、OGも公演に参加。今年も大成功のうちに幕を閉じました。
 
公演を終えて
 演劇部恒例の卒業公演は、今年は卒業生が多数参加してくれました。昨年度、ベストセラーになった島本理生さんの「ナタラージュ」の世界みたいだなと作品を作りながら考えておりました。

 そんなわけで今回は、少し難しいテーマに挑戦してみました。これは仙台育英学園の演劇部がこの10年間ぶつかって来たテーマとも一致します。続けること自体が厳しい状況の中で、周囲の反対を押し切ってまで何故に私たちは芝居を続けてきたのか。それは、演劇、芝居というものが単に趣味であるということを超えて私達が生きるための手段そのものだからなのかと思います。

 誰かに恋をして、愛し愛されたいと願いながらかなわない。夢を追いかけて挫折しそうになってそれでも尚、捨てられない。そんないつの時代にも普遍的な若者の姿を、凶悪犯罪の頻繁におきる現代社会の裏側を舞台に描きたいと思いました。芝居の構成にはベケットの『ゴドーを待ちながら』と芥川龍之介原作の『藪の中』という映画の手法を参考にさせていただきました。結果はご覧になった通りです。演出意図が上手く伝わった部分伝わらなかった部分があると思いますが今回参加したメンバー、観に来てくださった観客の皆様の日常に、何らかの生きる希望を与えることができたなら幸いだと思っています。

 演劇部は現在大変厳しい状況です。部員数の減少や練習場所、時間の確保。そういったものが年々ますます厳しくなってきています。それでも、まだ芝居を続けることができたならぜひ皆様とお会いしたいと思っています。
演劇部顧問 渡部 進
 
「I Love Youはひとりごと」
作・演出 早瀬 俊

《あらすじ》
 偶然に一人の少女と同棲生活を始めることになった小説家志望の男と、二人の殺人を犯したとして死刑が確定した男の話。何故男は小説を書きつづけなくてはならないのか。男は本当に残虐な人間なのか、あるいはそうではないのか。何が現実で、何が夢で、何が小説の中という虚構の世界なのか。やがて現実と思われた世界が破壊されて、新たな真実の世界が浮かび上がる。
 
演劇部員、OB、OGから
演劇における真理考察
ー三月公演を通してー

英進進学コース3年 佐山さん 上杉山中出身
 人間性の機械化。人間の温度を忘れ去られつつある今日、私は演劇と出合った。演劇とは言うなれば『創造と心理追究』だと私は考える。自分とは異なる姿を演じ、その人物の感覚を理解すると同時に、他の役者との温度を創造、そして理解し、より深い真理性の濃い海構へと埋没してゆくその感覚は、目に見えぬカタチとなって世界の理(ことわり)の一部をモノにする。即ち、一を知り全と成る。
 今の人間は欲望に支配される側となっている。目に見える物を求めすぎている。そう、自分自身の見えない所を理解しようとするとき、それを可能とするのが、演劇である。


体力面、精神面で大きく
成長できたと思います

英進進学コース3年 高橋さん 高崎中出身
 私は今回参加した公演が演劇部員としての初仕事となりました。二学年の途中から入部し、スタッフとして照明装置を扱う仕事を任せられた訳ですが、初心者という事もあって先輩と二人での仕事になる予定でした。本番直前にトラブルがあり、結果的に自分一人で役割を果たす事になりました。公演は無事に成功したのですが、そこに辿り着くまでに様々な困難と遭遇し、友人や先輩方等、大勢の人達の中で、日常の生活では得られない様な経験をつみ、体力的な事はもとより、精神面においても大きな成長を遂げる事が出来たと思っています。


先輩方が演じる姿を見て
さまざまなことを学びました

英進進学コース3年 白川さん 田子中出身
 コンクールにしか参加したことのない僕にとって今回の公演が初の単独公演参加となりました。卒業生の先輩方がメインの役者を演じる姿を見て盗もうとしたり、悩んだりしながら、何とか舞台に立つことができました。さまざまな面で迷惑ばかりかけ続けてしまいましたが、そこから得たもの、学んだことをこれからの活動に活かし、後輩達にも伝えていきたいと思っています。今回は辛いことも大変なこともありましたが、本当に参加できてよかった。心からそう思います。新入生のやる気のある皆さん、是非参加しませんか?僕たちはあなたを待っています!


演劇を通して、「自分は自分」
ということに気づきました

秀光中等教育学校5年 杉さん 旭丘小出身
 人の気持ちとか、伝えられなかった考えとか、昨日見た夢とか…言葉だけで伝わらない『思い』は、人生においてたくさんあります。人はそんな気持ちを無意識的に胸に抱えこんで生きている気がします。明日あの人に会ったらああ言おうこう言おうと思っていても、手紙とかメールとか言葉にしないでいたら結局忘れてしまったりして…。私は今まで演劇とは誰か別の人間になりきって行うものだと思っていました。だけどそれは全然違って、自分は誰かに変われることもできないし自分は自分でしかありません。それを知って私は変われたと思います。


芝居ならではの
不思議な感覚を味わいました

平成17年度特別進学コース卒業生 進学準備中 大石さん
 私は大学受験などのため遅い時期から参加で大変な部分が多かったですが、色々とありながらも舞台に立ててよかったなと思います。稽古中にこれは自分の日常ではないのかと一瞬感じてしまう時があります。この不思議な感覚は芝居だからこそと思います。この公演を通し、自分の明確な道を見つけることができました。つらかったことも多かったですが良い経験となりました。でも、もう床には寝たくありません…。


物語がリアリティのある世界として
存在し続けてします

平成15年度英進進学コース卒業生 獨協大学2年 平塚さん
 なんだか不思議です。公演が終わって暫く経つというのに、終わることが無いような感覚が続いています。稽古中は、毎日芝居の夢をみていました。稽古をしているか、そうじゃなくとも必ず役者陣は登場しているのです。そして、目覚めるとぐったりとしている。こんな毎日でした。
 今でも私にとっては、この物語がリアリティのある世界として存在し続けています。あの瞬間のみんなといられたこと、感謝します。   


今しかない公演の大切さを
改めて感じました

平成14年度英進進学コース卒業生 東北工業大学3年 北浦さん
 演劇をはじめて、はや六年が経ちました。何やってるんだか。今回の公演中、様々な人達に助けられました。先生、役者、先輩、現役、同世代。すみません。技術や精神的にも未熟であるとしか言えません。とある酔っ払いがこんな事を言ってました。演劇とは今だけのものだと。そういう意味では六年という歳月はあって、ないようなものかもしれません。一つの公演が今しかないわけで、それが重要であると改めて感じる公演でした。


純粋な気持ちになって
芝居に取り組むことができました

平成15年度英進進学コース卒業生 尚絅学院大学2年 小畑さん
 今回演劇にかかわったのは3年ぶりで、戸惑うことばかりでした。体力的にかなりきつかったです。
 しかし今回参加した理由が自分にどれだけできるのか、また高校を卒業して自分が変われているのか。というのがあったので、純粋に芝居に取り組むことができました。
 自分が成長したかどうかは自分ではよく分かりませんが、芝居に参加して良かったと思っています。


自分の気持ちに向き合い、
誰かの気持ちも代弁していけたら…

平成15年度英進進学コース卒業生 東北文化学園大学1年 伊辺さん
 今回の芝居に参加してどれだけ自分が休んでいたかということが解りました。だから最初は役者をやるのに抵抗を感じていたのだろうと思います。だけど俺がこんなことを感じたり考えたりできるということを自覚して、誰かの苦しみを少しでも代弁できればいいなと思いながら演技しました。どんな形であれこれからもそういう気持ちで生きていきたいです。今回やれて良かったです。それはさておき次は外側からの作り手をやりたいなあ。