2011 Topics  第63回 全日制課程 卒業証書授与式  
   

答辞

平成23年3月1日

特別進学コース 外国語コース 英進進学コース
T-フレックスコース M-フレックスコース

平成22年度 卒業生代表 特別進学コース 三浦 彩

 寒気は依然として残るものの、一段と春めく今日の佳き日に、ご来賓皆々様方のご出席を得て盛大な卒業証書授与式をあげていただき、卒業生一同、感謝と喜びの思いひとしおのものがあります。

 先ほどは、校長先生から「心に響く激励」のお言葉を、ご来賓の方々からは「人生を踏み出す餞」のお言葉を頂戴しました。大変ありがたく「いよいよ卒業なのだ」という実感が湧き、同時に「新しい人生を突っ走りたい」という情熱のほとばしりをも感じます。

 さて、私たちは、創立以来105周年の歴史と伝統に輝く仙台育英学園で、創立者 加藤利吉先生の掲げられた「健学の精神」をモットーに、加えて校長先生の「新しいものに興味・関心を抱き、未知のことに挑戦していこう」というチャレンジャーへの誘いに触発されつつ、他にない先進的な教育体制と恵まれた環境の織りなす学び舎で、高校生活を紡いでまいりました。

 そのステージは、コンパクトながら、永く学園躍進の拠点を担ってきた宮城野校舎であり、新時代への新たな発展を促す壮大な多賀城キャンパスでした。ここには、(全天候型グラウンド、グローリーホール、NCホール、レオホール、図書館、学習室、英松庵、コンピューター室などの)多彩な施設とそれを満たす指導者があって、のびのびと「学び」の輪を広げることができました。

 学園最大のイベントである育英祭は、文化部、学年有志がそれぞれ趣向を凝らして出し物を発表し成果を問いました。

 また、学校の外にあっては、年輪を重ねてきた梅田川の堤防清掃をはじめとして多様なボランティア活動に参加して縦横無尽に活躍できました。

 生徒が独自に取り組んできた活動の中に「飲酒運転根絶運動」があります。あの事件があってから、七回忌を迎えますが「再び起こしてほしくない」という強い願いから、今年も街頭で署名を集め、その名簿は法務大臣に提出し、世論を喚起してまいりました。事件を風化させぬ発信は、今後とも根気強く継続しなければならないと考えます。

 思えばこの3年間、諸先生方からは、進路の面で日々臨戦態勢を敷かれた並々ならぬご指導を、シャワーのごとく浴びることができました。放課後は時間の許す限り生徒に向きあい、懇切なアドバイスや課外授業をしてくださり、また、就職相談のため、日夜心を砕いていただきました。「受験は根性」「ホンキを出せ」「棚ぼたはないぞ」と親身になって叱咤激励していただき、モチベーションのUPにつなげることができました。「すばらしい先生方に教われて」とても幸運でした。

 また、すてきな友人たちに、めぐり逢えたことも忘れることはできません。教室では「切磋琢磨」一緒に学び、意欲をかき立てる、良きライバルたちでした。片や、共に遊び、自然な付き合いの中に、「他人への思いやり」「他人と協調すること」の重要さを悟るきっかけを作ってくれた仲間たちでもありました。

 後輩の皆さんたちからは、揺るぎない支援・協力をもらいました。生徒会や部活動では骨身を惜しまず、そのタフなエネルギーを十分に発揮してくれて、本当に頼りになる存在でした。しかも底抜けに明るく、何事につけ先輩を立ててやまぬ謙虚な同士たちでもありました。

 教室で教わることのない職員の方々からも校内と限らず、いたるところで、社会生活を営むうえでの不可欠な規範や社会でどのように行動し、他人とどう関わっていけばよいかを諭されました。

 また、両親たちは、人生や進路のことで、思い悩み、行き詰まって試行錯誤を繰り返しているとき、辛抱強く見守ってくれました。時には厳しく時には優しく、心に寄り添う言葉で元気づけてくれました。お陰で私たちは、人間に幅ができて、親から時々発せられる、きついメッセージをも素直に受け入れることができるようになりました。

 今は、このような周囲の方々の支えがあってこそ、今日の自分たちがあることに気付き感謝の気持ちでいっぱいです。

 高校生活を顧みるとき、一つ二つの思い出が胸をよぎります。

「北海道」への研修旅行では、「高大な緑の大地」「颯爽とした威厳のある山岳」など、素晴らしい景観に心を奪われました。「北海道開拓の歴史を語る建物たち」「自然とともに生きてきた、アイヌの人たちの暮らしと文化」にも触れ感動しました。

 また、収穫量日本一の農作物、漁獲高全国一の海産物の多さにも驚き、数々の美味しい食べ物などに舌鼓をうちました。自主研修では陶芸やハム・チーズづくりにも挑戦しましたが、結構楽しくためになりました。そして何よりも規律あり集団行動を経験し仲間たちとの友情を深めた点で終生の思い出となりました。

 研修旅行と言えば、海外への語学研修もありました。参加者は一様に外国に足を踏み出した際の喜びや興奮を高らかに語ります。特にハワイを訪ねた人たちは、ホームステイを経験し「英語に対するバリアーを低くすることに役立った」と言います。英語をツールとして、異文化理解などの総合的なコミュニケーション能力を高めようとする場合の魅力的な研修と思いました。

 高校生にとって部活動は、「青春そのもの」。心を衝き動かして止まないものがあります。ラグビー部は15年連続で全国大会に出場。和歌山工業との初戦を飾り、花園に陣取る応援団の熱い祝福を受けました。

 また、陸上部は、都大路をひた走る駅伝大会で、男子が全国第4位、女子第3位という堂々の活躍。フィニッシュまで、集中力を切らさない力走を見せて、沿道からは大声援が送られていました。

 夏の甲子園で、硬式野球部は島根代表の開星高校と対戦。9回2死から、 3点をもぎとる大逆転での初戦突破。脳裏に焼きついて離れない激闘でした。最後まで諦めない選手たちの闘魂と酷暑中、スタンドに立ち尽くしたまま懸命の応援を続ける団員の精魂が一体化した瞬間でした。高校スポーツの醍醐味を実感しました。

 文化部では、書道部が「書の甲子園」として知られる「書展」で全国準優勝と創部以来初の快挙をなしとげています。

 こうして、私たちは学園の内外において、努力の汗と涙を流しつつ多様な「学び」を積み重ね、いよいよ卒業の日を迎えました。
 折しも現実の世の中は、グローバル競争から端を発した混迷の真っ只中にあって、私たちの「夢」や「希望」も押しつぶされそうです。でもそれは、各自が確たる目標を立て、自己を磨く努力をすることによって、乗り越えることが可能だと信じます。

 卒業とは、「自分のレベルがどこまで向上したか、どんなに変わったかを見極めそれを基点として、新たな出発が始まることだ」と言われます。とすれば、私たちは今、新たなスタートラインに立ったことになります。

 今後は「誰かが行かねば道はできない」というチャレンジ精神をもって、毅然とした態度で、粛々と生きていくことをお誓い致します。

 最後になりましたが、私たちの母校が、創立125周年に向けての限りない発展と本日ご出席くださいましたご来賓の皆々様方、並びに校長先生はじめ諸先生方、職員の皆様方、保護者皆々様の益々のご健勝とご多幸を心からお祈り申し上げて、卒業生を代表しての答辞と致します。

   
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