『宮城野萩だより』Vol.23
 
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卒業生の保護者から -1
 

逆転の仙台育英にご縁をいただいて

 平成二十二年四月四日 入学式、加藤校長先生の祝辞の中でお話をいただいた「逆転の仙台育英」この言葉にそれ迄の不安が払拭されたその瞬間の出来事が、今もなお鮮明に心に残っております。
 第三子にして初めての娘ということもあり、志望校選択の際は、色々と思い悩み迷う日々が続きました。あまり勉強の得意な子ではなかったものの、三才違いの弟との関わりを通して芽生えた幼少期からの夢「保母さんになりたい!!」その自己実現にむけて考えた時、現役進学者数県内No.1、就職率男女共に100%の貴校への志望がゆるぎないものとなり、中学校生活最後の三者面談の際、その旨を伝えた時の、「とても良い選択だと思います」との担任の先生の安堵の様子に、帰宅時、母娘で楽しく進学の話で盛り上がり目標に向けて、一本のまっすぐな道が出来た様なそんな気持ちになり、とてもうれしかったことを覚えています。
 無事入学したものの、勉強と部活動の両立、又、人よりも少し遅めの反抗期もあり、退部の危機、退学の危機といった時期もありましたが、加藤校長先生をはじめ、諸先生方の“真摯”なご支援、ご指導のおかげで、何とか、卒業証書を手にする事が出来ました。感謝の気持ちで一杯です。本当にありがとうございます。
 今、娘は貴校より推薦いただきました専門学校に進学し、楽しく生活しております。
 あらためて、“目標を持つ事の大切さ”を実感しております。
 いろいろな事を乗り越えた三年間ではありましたが、娘の言葉の端々から「仙台育英学園卒業生」としての「誇り」が感じられ、親として本当にうれしく思います。
 最後になりましたが、加藤校長先生をはじめ全職員の皆様のご健康とご活躍を心よりお祈り申し上げます。
 「逆転の仙台育英! 万歳!!」

【英進進学コースI類卒業生 母】
 
 
卒業生の保護者から-2
 

学園で学ぶ皆さんへ

 桜満開の4月1日。娘たちの入学式で、大学の総長は次の趣旨を述べました。
「学問の成果を、自分自身の利益ではなく、世のため人のために用いる。その人格を養成することが、本学の教育における最も重要な点である」
 宮城から上京した娘は、おそらく、全国から集まった同級生に囲まれ、震災の体験を聞かれたことでしょう。校舎が損壊し、勉強・部活・生活すべてに大きなハンディキャップを負ったこと。しかし、学園みんなの活力で不足のない3年間を全うしたこと。その毎日を、先生方をはじめたくさんの人々が支えてくれたこと。その意味で、6コース2千余人が学ぶ仙台育英学園は、あたかも震災から立ち上がる被災地域の縮図のようでありました。
 即ち、様々な目標に向かう多様な個性が同じ困難を共有したことで、「誰も諦めてはいないぞ」「言い訳するな、落伍するな!」努力の継続が促されました。そして、勉強に、部活に、資格取得に、友だちとの日常に、益々懸命な青春の輝きが、全体の活力を維持し高揚し続けました。個と全体の相関・相乗が、他の地域から見れば「勉強や部活どころではない」絶望的な状況を克服していきました。
 思うに、教育とは人を一人前にすることです。一人前とは、社会で自立できること。具体的には、「自分の必要をまかなえる」そして「他人の不足を補うことに貢献できる」。現代の世相は前者をことさらに強調しがちですが、学園においてはまさに総長が述べた後者の人格が、無意識のうちに養成されていたはずです。
 娘たち卒業生には、必要以上を稼ぐことにあくせくせず、未だ必要を確保できない人のために力を尽くす――、その志を強くして欲しいと思います。震災直後に入学し学園の復興とともに歩む在校生のみなさんにも。それが、人間の真の豊かさであり、同時に、未曾有の災害を体験し仙台育英学園で学んだ故の、貴重な教訓だから。

【特別進学コース卒業生 父】

 
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