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2月28日木曜日、多賀城校舎グローリーホールを会場に、秀光中等教育学校第5回卒業証書授与式が行われました。この日、卒業証書を授与された卒業生の数は51名。秀光中等教育学校の前身である秀光中学校が誕生して以来の7期生となります。 |
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寒く厳しい冬の季節も去り、ここ陸奥の地にも心なしか春の訪れが感じられるこのごろです。本日は私たち卒業生のために、このような素晴らしい卒業式を挙行していただき、お礼申し上げます。先ほどの校長先生の式辞、来賓の方々からのご祝辞、そして在校生の送辞に、卒業生一同、深く感謝しています。 今日この会場に入ったとき、一番に感じるのは遂に私たちも送られる側になったということです。入学してから6度目の卒業式、何度も歌った『自由への賛歌』、寒さを肌で感じながら6年生を見送るグローリーの外、それも今回で最後になります。学年があがるたびに壇上に近づく自分達の席がその現実味を何よりも物語っています。 思い起こせばここ秀光中等教育学校で過ごした6年間はドラマそのものでした。時には歓喜して、また時には涙する、そんな汗と涙の青春ストーリーです。6年前の4月に赤門の前で撮った集合写真とすっかり同じ並び方で、先日私たちは集合写真を撮りました。答辞と同じように並んでみると、改めて6年の“時の流れ”が私たちにもたらした変化を感じました。それは背丈であったり、顔つきであったり、また何より雰囲気の変化です。前も後ろも初めて会ったばかりの同級生に囲まれた不安だらけのあの頃に比べ、今の私たちは深い絆で結ばれています。 その絆を作り上げた日々を振り返れば、すべての思い出が昨日のことの如く走馬灯のように鮮明によみがえってきます。 例えば合唱コンクール。毎年一丸となって取り組んできた日々を思い起こせば、様々な情景が脳裏をよぎります。朝も放課後も校舎内は歌声でいっぱい。白い息を吐きながら暗い帰り道を歩けば、鼻歌で奏でる合唱曲。懸命になるが故のすれ違いに悩み、たくさんの話し合いをして、心通ったうれしさに抱き合った日。全員がひとつの歌声を作り上げるとき、そこには苦難の末に結ばれた確かな絆があり、それは何事にも代えることのできない価値あるものだと強く思います。 また、ユーロスクールでは数多くの出逢いが思い出となり、素晴らしい経験を積むことができました。例えば、練習を重ねたかいあって大成功をおさめることができたスイスでのコンサート。会場に足を運んでくれたお客さんの拍手と引き換えに溢れる涙と笑顔はなによりの思い出です。また、スウェーデンとアイルランドに分かれて行ったホームステイでは濃密な時間を過ごすことができました。最後の“さよならパーティー”は生涯忘れることのないものとなり、あの時歌った「涙そうそう」は日本語の歌詞であるにもかかわらず、会場は涙で溢れていましたね。 後期課程の京都研修では、千年の都と言われる京都の美しさを実際に自分の足を使って感じました。仲間と地図を片手に京の町を歩き、迷ったりもしましたが、商店街の真ん中に寺院を発見できたり、仙台とそっくりなアーケードを発見したり、それはそれで、わくわく冒険のようで楽しくもありました。 夜になると、眠い目をこすって語り合ったあの時間も旅行の醍醐味でしたね。誰かが言った「今回がみんなとの最後の旅行だね」という言葉の裏にある物寂しさと同じ感情が、今、胸の中にあります。 さて、2007年を表す漢字として『偽』が選ばれているように、相次ぐ食品偽装問題、耐震偽装問題、偽年金記録問題などが世間を騒がし、信用、信頼という言葉を使う際、必ずといっていいほど「裏切り」という言葉が付いてきてしまう現代社会です。日本漢字能力検定協会のホームページには、『何を信じたら良いのか、わからなくなった一年』と書いてありました。一方、世界では今、多くの国がアメリカ合衆国大統領選挙に注目を集めています。ヒラリー氏が当選すれば女性議員初であり、オバマ氏が当選すれば黒人初の大統領誕生という歴史的意義のある選挙であり、今までにないほどの盛り上がりを見せています。専門家の予想も外れがちになるこの大接戦は草の根運動の影響も大きく、変革を掲げて接戦を繰り広げる両氏の姿は、ブッシュ政権の8年間、戦争と対立に疲れた人々の心にまっすぐに響いたことでしょう。人種や年齢、性別も党派も超えた人たちが、まるで大きな白いキャンバスのように、こうありたいと願うアメリカの姿を描き始めています。未来を担う私たちが、両氏に学ぶところは非常に大きいと思います。偽装だらけの社会にゆれる日本にこそ、私たちはチャレンジ精神、確固たる意志、それに伴う行動力を身につけることによって希望が溢れる明るい未来を創造する必要があるのでしょう。 学校生活を楽しく過ごせたのは、友達の力だけではなく、先生方の存在も大きいものです。私たちを温かく見守ってくださった先生方には感謝の気持ちでいっぱいです。時には礼儀がなっていないと感じたかもしれませんが、それもすべて先生方を慕う気持ちがそうさせるものです。昨年末、みんなの太陽のような存在であった南部先生が、病気のために退職されました。いつも笑顔でジョークを飛ばすその姿は、みんなを笑顔に変え、優しい気持ちにさせる魔法を持っています。その魔法は先生が学校にいないからといって解けることはなく、今も変わらずみんなの心にかかっているのです。また、いつも生徒を気遣い、みんなが頼れる担任になってくれた菅原先生や、どんな逆境にも負けず私たちの師として、3年間愛情を注いでくれた奥山先生をはじめとする先生方。私たちが、自分を見失わず最後の一歩まで踏みしめることができるのは、先生方のおかげです。次から次へと起こるつらい出来事に揺れる私たちを、最後の最後まで面倒を見てくださいました。今一度、厚い御礼を申し上げます。 きっと、誰もが『出逢い』を経験するのでしょう。しかし、その出逢いをいいものにするかどうかはその人次第なのです。そういった意味において、素晴らしい出逢いとめぐり合わせてくれたこの秀光中等教育学校に大いに感謝しています。楽しいことを目の前に一緒に笑い合う仲間に出逢うことはそれほど難しくはありません。しかし、隣にいてほっとする、安心感のある存在というものはなかなかできるものではないと思います。また、自分が逆境に立ち、めげそうになったとき、手を差し伸べてくれる存在を見つけることも難しいものです。「誰かに否定されたり、悪口を言われたり、言われたくないことを言われてへこんでしまうときは、私があなたを肯定してあげる」という友の言葉。「自信を持って」と背中を押してくれる友の温かさ。信頼し合える仲間が私の何よりの誇りです。 明日から私たちは皆、今まで以上の困難が待ち構える厳しい現実社会に向かっていきます。そして、そこでは自分自身と真っ向勝負しなければならないでしょう。しかし、どんなときもチャレンジ精神を大切に、大人社会の荒波にもまれながらも確固たる意志を貫いていきたいと考えています。誰かの心を動かせるような、そして、誰かの心に残るような、そんな人間に是非ともなりたいと思っています。 最後に仙台育英学園秀光中等教育学校の一層の飛躍と皆様の御健康と御多幸をお祈り申し上げ、エレノア・ルーズベルトの言葉を贈り答辞とさせていただきます。 在校生の皆さん、そして旅立つ仲間に 『未来は自分の夢の美しさを信じる人たちのものである』 平成20年2月27日 第5回 秀光中等教育学校 第7期卒業生代表 赤間 |
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