送辞

平成23年3月2日

在校生代表 5年M3組 門間 裕也

 草木が芽吹き、命の躍動が感じられるこの季節。それは同時に、慣れ親しんだ場所に別れを告げ、新たな地へと踏み出す巣立ちの季節でもあります。

 本日10期生の先輩方は、今日までの6年間を過ごしたこの秀光を離れ、それぞれの未来へと羽ばたいていきます。私たち後輩には、そんな希望に満ち溢れた先輩方の姿がとても輝いて見えます。

 1学年下の私には、常に一歩先を歩んでいく先輩方の姿を頼りに、いつもそれを目標に追いかけてきました。「この先なにがあるんだろう、どうやってそれを乗り越えればいいんだろう」。そんな不安を抱えた私を、先輩方はときにその手で、またあるときは自身の後ろ姿で導いてくれました。

 思い返せば、今日まで先輩方とともに過ごした日々は、本当に数えきれない程の思い出で満たされています。私たちが入学して間もないころのグリーンスクールやスノースクールを思い出すと、懐かしさで胸がいっぱいになります。あのときも不安ばかりだった私たちを、先輩方は優しく導いてくださいました。いつだって落ち着いていて、頼れる存在。そんな頼もしい先輩方を見て、「いつか、こんな風に後輩に慕われる先輩になりたい」と憧れを抱き、その姿を目標にして一日一日を過ごしてきました。ときに、秀光祭やスポーツチャレンジといった行事では思い切って先輩方に挑戦してみたこともありましたが、私たちはいつも先輩方の勢いに圧倒されて、その度に先輩方の偉大さを改めて知るのでした。

 しかし、そんな日々も今日が最後になってしまいます。いずれこの日が来ることはわかっていました。しかし、いつもカレンダーの日付を見るたびに、心のどこかでは「この日がずっと来なければいいのに、このまま変わらない日々が続けばいいのに」。と思ってしまうのでした。明日からは、廊下ですれ違うこともなく、その代わりに二つの静かで空っぽな教室を目にするのかと思うと、私は送辞を読んでいる今でさえ、胸にこみ上げる寂しさを抑えることができません。

 先輩方がこの学校を去る明日からは、かつて先輩方もそうであったように、私の所属する学年が最高学年となります。先輩方が守り抜き、発展させてきた伝統のバトンを、今度は私たちがこの手で守って行くこととなります。しっかり役目を果たせるかと心は不安でいっぱいですが、先輩方の活躍に恥じないよう、しっかりと後輩たちに引き継いでいこうと思います。

 先輩方と過ごした時間は、私たち後輩全員にとっての宝です。思い返すと輝かしいあの日々はなにものにも代えがたく、これからの私たちのなによりの支えとなるでしょう。その思い出を糧に、先輩方から学んだことの一つ一つを胸に刻んで、これからの一日一日を力一杯歩んでいこうと思います。

 今、世界情勢は転機を迎えており、アジア諸国が急速に力を付け、国際的な発言力を高めています。日本の企業も我先にとアジアへ進出し、市場の拡大を目指すようになりました。その一方で日本国内に目を向けるとどうでしょう。雇用の創出や切迫する福祉制度の問題、加えて雪だるま式に増えていく赤字国債など、国の中での問題が山積みです。誰もが日本の将来に不安を覚えずにはいられないでしょう。

 しかし、これらの現実から目を背けることはできません。真っ向から立ち向かい、腰を据えて取り組んでいくのがこれからの社会を担う私たち若者の指名であると思います。

 この6年間、どんな困難にも屈することなく、果敢に挑戦し、乗り越えてきた先輩方は、いずれ世界の舞台で活躍することになると思います。その際は、秀光がその育成を目指している真のグローバリストとして、必ずやその手で明るい未来への突破口を開いてくれると信じています。秀光の6年間で学んだことを存分に活かして、これからの世界をリードしていってください。

  私たち後輩一同、先輩方の活躍を心から願うとともに、この輝かしい門出を心から祝福いたします。先輩方、御父兄の皆様方、ご卒業おめでとうございます。

 最後に、皆様方のより一層の健康と今後益々のご発展をお祈り申し上げて、在校生代表の送辞とさせて頂きます。

 私たち後輩のこと、そして秀光での日々をいつまでも忘れないでください。

 今まで5年間、本当にありがとうございました。

 

   
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