答辞

平成23年3月2日

秀光中等教育学校 
第10期生 卒業生代表 岩本 怜央

 

 厳しい寒さもようやく緩み、陽光うららかな季節となりました。

 本日は多数のご来賓の方々のご臨席を賜り、厳粛な中にも心温まる秀光中等教育学校第八回卒業証書授与式を挙行していただき、卒業生一同、心より御礼申し上げます。只今の校長先生の御励ましの式辞、父母教師会長様のお祝いのお詞、在校生のみなさんの力強い祝福の合唱を胸に、私たち十期生は、思い出深い学び舎から巣立とうとしております。

 思い起こせば6年前、満開の桜のもとそれぞれの期待と不安を胸に入学式を迎え、私たち10期生の秀光中等教育学校での生活が始まりました。入学直後に行われたニューライフプランでは、それぞれが青春共にするかけがえのない仲間を作り、その仲間たちとの学校生活を始め、グリーンスクールやスノースクール、スポーツチャレンジなど様々な行事に取り組んでまいりました。その中でも特に、親元を離れての初めての長期海外研修であったユーロスクールでの体験は私たち10期生にとって、非常に中身の濃い充実した行事となりました。私たちはツェルマットで行われたチャリティーコンサートに向けて、出発前から一生懸命に取り組みました。合唱が得意でなかった私たちは、途中で練習を投げ出しそうになることもありました。ですが、そのたびに先生方が声をかけて下さり、また仲間たちで支え合うことにより、全員でコンサートに挑むことができました。コンサートでは、アンコールの楽曲が終わり、私たちがステージを去ろうとしても観客からの拍手が鳴りやむことはなく、最初の予定にはなかった二度目のアンコールの曲まで歌うことができました。その時の感動と喜びは、私たちにとって大きな自信となり、一生忘れることのできない体験となりました。

 4年次の京都研修では、ユーロスクールとは違い、伝統的な「和」の文化に触れ、日本文化の素晴らしさを再認識することができました。また十期生としての最後の研修旅行ということで寂しさを感じながらも、それぞれが思いを新たにし、多くの思い出を作ることができました。

 部活動では顧問の先生の熱心なご指導のもと、学年の枠を超え、後輩や同級生たちと大きな目標に向かって前進することができました。時には言い合いになったり、喧嘩をしたりすることもありましたが、最後には必ず共に目標に向かうことができました。

 ところで、今日世界ではエジプトでの大規模なデモによる大統領退陣や、北朝鮮による韓国の延坪島への砲撃など国際的に決して平和な世界であるとは言い切れません。また日本では先の参議院選挙で、政権を握っている民主党が大敗し、野党が過半数を占めるという「ねじれ国会」に突入しました。また外交では露西亜との北方領土問題や中国との尖閣諸島問題が悪化し、世界的に日本の立場が試されていると言える状況にあります。ですが、その中でも2010年10月には日本人の鈴木章氏と根岸英一氏のノーベル化学賞受賞や、サッカー日本代表がワールド杯でベスト16、アジア杯では優勝という成績を修めるなど、これから社会へと飛び立とうとする私たちにとって希望をもたらすニュースも多くありました。このように日本人が世界的に活躍している世の中で、私たちはこの秀光中等教育学校で学んだLanguage and Music のもと Grobalize された知識と能力を活かし、これから立ち向かう困難を乗り越え、自分たちの目標に向かい、それぞれの道を歩んでいきます。

 私はこの秀光中等教育学校での生活の中で、非常に音楽に触れる機会に恵まれていたと思います。音楽の世界では一音ずれるだけで、完璧な演奏とは言えません。私たちの学校生活も、音楽の世界と似ているところがあると思います。私たち10期生の一人一人の奏でる五十五の音が時には不協和音、そして時には美しいハーモニーを奏でながら、六年間という時間をかけて一つの曲を作り上げてきました。しかしまだこの曲は人生のプレリュードに過ぎません。これからは、この55人で新たな曲を作り上げることはできませんが、私たち一人一人がまた新たな地で、そして新たな仲間と共に、それぞれの人生の交響曲の、一音一音を大切に作り上げていきたいと思います。

 別れの後には出会いがあります。私たちは今、新たな出会いに大きく胸を膨らませながら、この秀光中等教育学校を卒業します。そんな私たちを6年間教え導き、愛情を持って温かく見守り続けて下さいました、校長先生をはじめとする諸先生や職員の皆様。私たちを常に応援し、協力してくれた在校生の皆様に心より厚く御礼申し上げます。
 そして、18年間私たちと喜びや悲しみを共に分かち合い、私たちのわがままを受け入れて、時には叱って間違いを正してくれた、掛け替えのない家族にこの場を借りて感謝いたします。お父さん、お母さん、本当にありがとうございました。

 最後になりましたが、秀光中等教育学校の益々のご発展と、校長先生はじめ、諸先生方、そして在校生の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、答辞といたします。

   
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