▼イタリアで共同製作された
1台のヴァイオリンを携えて…
9月15日(土)、「Violino Gosch」の皆さんが秀光を訪れてくださいました。
「Violino Gosch」とは、イタリア・クレモナ在住の弦楽器製作者12名が共同製作した1台のヴァイオリンを、東日本大震災被災地の学生オーケストラに贈るという企画。メンバーは、クレモナで弦楽器の修理・調整・製作をされている松下敏幸さんほか、チェロ、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノの各演奏家とナレーションの方々から構成されています。
今回の本校への訪問は、秀光卒業生のお母様で在仙ピアニストとしても活躍されている門脇麿美子さんからお話をいただき、実現しました。
▼「私たちが被災地のためにできること、
それは楽器製作です」
はじめに、ヴァイオリン寄贈授与式から。代表して挨拶されたのは、楽器製作指揮の松下敏幸さん。松下さんはお話の中で「東日本大震災の被災地のために、私たちができることは楽器製作しかない。その思いを強くした12人の製作者がこのヴァイオリンを仕上げました。この学校にとどまらず、宮城、岩手、福島、そして日本全国に皆さんの演奏でこの楽器の音を伝えてほしい。それが私たち12人の製作者の強い願いです」とこの企画に対する思いを語られました。
秀光生を代表して、ヴァイオリンを受け取ったのは、オーケストラ部長の川上さん。「このヴァイオリンは、皆さまからいただいた音楽によって生まれる絆と一緒に、私たちの代からさらに後輩の代へ伝えていきたいと思います」と感謝の言葉を述べました。
▼宮沢賢治の童話世界に
どんどん惹き込まれ…
そして、「Violino Gosch」の皆さんによる演奏会。「新しいイーハトーブを求めて」という自主公演コンサートです。最初に演奏されたのは、チェロ担当のニコラ・セガッタさんによる作曲『「セロ弾きのゴーシュ」より第3場「かっこう」、最終場「コンサートの夜」』。声楽家の谷本暁さんの迫力ある朗読に、チェロ、ヴァイオリン、クラリネット、ピアノの美しく繊細な旋律が乗って、宮沢賢治の原作に新たな命を吹き込んだような作品。ひと味違った演奏に生徒たちは最初驚いた様子でしたが、独特の世界観にどんどん惹き込まれていったようです。続いて、同じくチェロ担当のマルコ・デチモさんが東欧の民謡をもとに書いたという『2つのセルビア舞曲』が演奏されました。
弦楽器に関する質問コーナーでは、生徒たちから「弦楽器の持ち手の先端はどうして丸く渦巻き状になっているのですか?」「黒いライン(溝)があるのは何故?』などの質問が。松下さんがていねいにわかりやすく答えてくださいました。
そして、オーケストラ部弦楽器セクションの5年生も加わってのコラボレーション演奏。生徒たちが一所懸命練習してきた『You raise me up(ブレンダン・グラハム&ロルフ・ロヴランド作曲 )』が演奏されました。
▼演奏家の皆さんによる
各パートの演奏指導も
最後に生徒会長の鈴木くんがスピーチ。日本語と英語で「本日は秀光中等教育学校のために皆さんが作ってくださった楽器をプレゼントしていただき感謝の気持ちでいっぱいです。生の演奏をこんなに間近で聴けたことは私にとってとても貴重な経験となりました」とお礼の言葉を述べました。
このあと、オーケストラ部員にとってさらに嬉しいイベントが。メンバーの皆さんによる演奏指導が、各弦楽器とクラリネットのパート別で行われました。練習後の「お礼の会」では、指導してくださったメンバーの皆さんから「指摘されたことを必ず実現しようというアクションがついてきたから指導していてやりやすかった」「すごく上手になりたい、習いたいという気持ちが伝わってきて、自分も楽しめた」などの温かい感想が伝えられました。
すべてのイベント終了後、オーケストラ部のみんなで「Violino Gosch」の皆さんが乗るバスを見送りました。
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