秀光中等教育学校 平成25年度卒業式 答辞【全文】
 

 大雪が続いた2月を経て、暖かな風とともに、春の訪れを感じることの出来る季節となりました。

 本日は多数のご来賓の方々のご臨席を賜り、このような厳粛かつ盛大な秀光中等教育学校第11回卒業証書授与式を挙行してくださいましたことに、卒業生一同心より厚く御礼申し上げます。校長先生からの温かいご式辞や父母教師会会長様からのお祝いのお言葉、生徒会長佐々木さんからの心のこもった送辞を頂き、改めて卒業という節目を自覚すると共に、これからの旅立ちに向けて大変身が引き締まる思いです。

 6年前の春、これからの成長を期待して買ってもらったぶかぶかの制服と履き慣れない新品のローファーに身を包み、この秀光中等教育学校の門をくぐった日から、私たち13期生の秀光生活が始まりました。入学式直前の教室では、緊張と不安からクラスメートに声をかけることが出来ず堅くなっていたことを思い出します。あの日から今日まで、様々な経験を積み互いに助け合いながら成長してきた仲間たちは、今では家族のような強い絆と信頼で結ばれています。

 秀光での多彩な行事を通して、私たちは多くの事を学びました。

 「GROW UP 〜大人の階段を上れ〜」という目標を掲げて臨んだユーロスクール、ヨーロッパの見慣れない街並みやその独特の雰囲気に圧倒されながらも、いたるところに日本との違いを見つけ、何もかもが新鮮に感じられました。カルバン講堂でのチャリティーコンサートは、自分たちでチラシを配り、直接現地の人々と関わり合いながら開催しました。異国の地で初めて出会う人達を目の前にし、自分たちの演奏や歌は、しっかりと聞いてもらえるのだろうかと不安でいっぱいでした。すべてを終えた後にもらった、あの大きな拍手はいまでも強く心に残っています。たとえ言葉は通じなくても、奏でる音や歌声で気持ちを伝えられることを実感しました。大人の階段を上るという目標が達成できたかどうかは、海外での貴重な経験を生かし私達が今後どう過ごしていくかにかかっているのだと思います。

 学年を重ねるたび、その歌声に一体感が増してきた合唱コンクール。このクラスで賞をとりたいという一心で、朝は早くに登校し、放課後は時間ぎりぎりまで練習に励む日々でした。真剣すぎるがゆえに、毎年必ず起こる意見の衝突は、クラスの結束を強め、より素晴らしい合唱を作りだす為の種となりました。第5学年では担任の先生も合唱に参加するという秀光史上例の無い試みで、まさしくクラスが一つになることができました。

 そして、秀光生としての最後の一年間は宮城野新校舎と共に始まりました。この素晴らしい校舎の開校を宣言させていただいたことは、私にとって非常に貴重な経験であり大きな自信となっています。校舎が分かれたことで、在校生の皆さんとはなかなか顔を会わせる機会がありませんでしたが、行事のときや帰り道で会ったときは元気に声をかけてくれたことが、大学受験の励みになりました。新しい充実した設備と環境の中で、それぞれの目標に向かって努力していく生活は、瞬く間に過ぎていきました。

 そして今この瞬間に感じているのは、これからの未来に対する希望と不安、そしてこの学校から旅立ち、13期生の仲間たちと離れてしまうさみしさです。思いやりがあって、相手の立場で物事を考えることが出来る、本当に心優しい学年です。まだまだこの仲間たちと一緒に過ごしていたいと感じています。

 7年後に東京オリンピック開催が決まり、日本は、世界からの注目がさらに高まっています。従来のやり方では機能しなくなってきている社会保障制度や、先の見えない景気の低迷からくる雇用への不安、外交面では、領土問題や防空識別圏設定などによる対中関係の悪化など多くの問題を抱えながら、我が国はますますグローバル化していきます。この厳しい現状に、私たちは自らの力で立ち向かっていかなければなりません。この学校で学んだ、自分の考えだけにとらわれない広い視野、困難に立ち向かう勇気、人と助け合う事の大切さと温かさを胸に刻み、誠心誠意努力していきたいと考えています。

 この6年間、未熟な私達を根気強く、そして優しく導いてくださった先生方、授業だけでなく、放課後自習室使用のために遅くまで残ってくださったこと、臨時で何度も面談を設けていただき進路の相談に真剣に耳を傾けてくださったこと、どんなに迷惑をかけても見限ることなく親身になって指導してくださったことに感謝しております。今日まで無事に学校生活を過ごし、各々がこれから歩む道を選択できたのは、ひとえに先生方の熱心な指導のおかげです。この教えを胸に、成長を続け、再びお会いするとき、自立した姿を見せることができるように努力してまいります。
 そして18年間、どんな時も私達を支え、育ててくれた家族にこの場を借りて感謝します。恵まれた環境のもと、素晴らしい先生方と、かけがえの無い友人達に囲まれ成長する機会を与えていただきました。毎日栄養満点のお弁当を持たせてくれたこと、自分勝手に苛立ちをぶつけてしまっても大きな優しさで包みこみ受け止めてくれたこと、進路で悩む私に、自分のやりたいことを信じて頑張りなさいと言って応援してくれたこと、本当にありがとうございました。今こうして清々しい気持ちでこの場に立てているのはみなさま方の支えがあってこそできたことです。私は両親の背中を見て育つことができて本当によかったと感じております。私たちはいつか必ず、家族にとって誇れるような息子・娘となって社会に貢献していけるようこれからもより一層精進してまいります。

 最後に、仙台育英学園秀光中等教育学校の輝かしい未来と皆様の御健康と御多幸をお祈り申しあげ、卒業生代表の答辞とさせていただきます。

平成26年3月1日
卒業生代表 鈴木

 
 
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