秀光中等教育学校 平成27年度卒業式 答辞【全文】
 

 冬の名残、いまだ去りやらぬ折ですが、日一日と早春到来の兆しが感じられます。
 本日は多数のご来賓の皆様方のご臨席を賜り、厳粛な中にも心温まる秀光中等教育学校第13回卒業証書授与式を挙行して頂き、卒業生一同心より御礼申し上げます。

 先ほどは校長先生のご式辞を初めとして、父母教師会会長様のお祝いのお言葉、在校生代表の送辞を頂きました。ただいまは『自由への讃歌』による、祝福の大合唱がありました。その余韻を胸に、本校20周年の節目に当たる私たち15期生26名は、いよいよ未来に向かって巣立つこととなります。

 月日は光陰矢の如しと言われますが、6年前の4月3日、私たちは入学しました。まだ肌寒さが感じられた入学式は、多賀城校舎グローリーホールで執り行われました。ぶかぶかの制服に身を包み、新しく始まる学校生活への不安と期待を抱きながら、私たちの秀光生活が始まりました。

 入学後、1年生の終わりに、あの東日本大震災を経験しました。そのあまりの突然さと、事態の深刻さに当時の私たちはうまく心を整えることもできませんでした。私たちのなかにも震災で家を失った友や、転校を余儀なくされた人もいました。そのような中でも、互いに手を差し伸べあい、この困難を乗り越えてくることができました。

 思い出に残る行事は沢山ありますが、なんといっても、毎年恒例の合唱コンクールや球技大会です。一番を目指し、年ごとに高度な話し合いや練習を続けてきました。その結果、学年が進むにつれて、上級生として確かな実力を発揮し、ふさわしい結果を手にしてきました。秀光祭ではたくましい後輩たちの実力に脅かされなかがらも、上級生としての誇りを胸に、心を一つにして私たちならではの音楽を作り上げました。

 私たちはこれまで二度の海外研修を体験することができました。
 ハワイ研修では、ハワイならではの様々な文化を学びました。特に戦艦ミズーリを見学した際には、重厚な船体に圧倒され、戦死者の氏名が刻まれた大きな石碑の前では、荘厳な雰囲気に包まれ、言葉で表現することもできませんでした。
 ニューヨーク研修では、二度目のホームステイになりましたので、前回よりも多くの英語でのコミュニケーションに挑戦しました。しかし、英語力は未熟で自分の意思を伝えることの難しさを思い知らされました。私たちはアメリカでも語学力を養い、秀光の教育方針であるグローバリストとなる素養や基本を吸収、研鑽出来たと実感しています。

 秀光生活での締めくくりとも言える京都研修では、著名な各大学で特別講義を受講したり、実習や実験もしました。企業や病院を見学し、職業観を広げ、自分たちの将来を考える最高の機会となりました。
 史跡を巡った自主研修では、古都の美しい自然に佇む寺社を目の当たりにし、日本の素晴らしさを再認識することができました。しかし、仙台へ向かう帰りの新幹線の中では、これで5年間、ともにしてきたクラスメイトと最後の研修になるんだなと、口に出さずともお互いに理解し合い、一抹の寂しさを感じました。

 濃密であったこの6年間には秀光ならではの行事がいくつも行われました。そのたびに仲間と衝突し、議論をたたかわせ理解し友情を深めていきました。それを繰り返すことで目には見えないけれど、そこには確かな絆が育まれてきました。
 何よりも得難いことは、秀光開校20周年に遭遇したことです。そのため私たちは最上級の6年生として、ふさわしい成果を上げたいとの思いで精一杯努力をしてきました。今後もそのような気概を持ち続けたいと思います。

 ところで、世界情勢では、中東や世界の各地で混乱の渦が巻き起こっています。爆破テロや難民問題、最近では、ミサイル発射問題が発生し、連日暗澹たる報道が行われています。

 今日本では、18歳で選挙権が与えられることとなり、私たちの一票が国の未来を左右することになり、その責任の重さを感じています。
 2020年に開催される東京オリンピックを控え、様々な事業が必要とされ、好景気へ向かうチャンスに直面しています。しかし、オリンピック後を考えると、過去の例からも、景気は下がっていくことが予想されます。この状況を食い止め、いかに維持向上させるのか。また、低迷する世界経済の中で他国と協調しながらどのように日本経済を発展させていくべきなのか、課題は山積しています。
 私たちが社会で働く時代はそうした厳しい時代であることは確かです。若き新戦力となる意気込みでこれからの時間を決して無駄にせず前進していきたいと思います。

 私たちは今日、秀光を卒業するという大きな節目を迎えています。この日を迎えるまでの18年間、私たちは大勢の方々に教えられ、支えられてきました。それはきっと私たちが考える以上に多くの人たちだと思います。
 特に秀光での6年間、最も多感で大切な時期に、この学び舎でこの仲間たちに出会えたことに喜びを覚えます。
 未熟な私たちに勉強だけでなく、人として大切なことを、あるときは厳しく、また優しく指導してくださった先生方。そして、生まれてからの18年間離れることなく愛情を注ぎ育んでくれた両親や家族に感謝の念でいっぱいです。この場を借りて心を込めて御礼申し上げます。
 今までほんとうにありがとうございました。
 私たちはいつまでも感謝の気持ちを大切にし、本校の建学の精神や生活信条を忘れず、大学生活や社会において、一人一人が輝き、各分野において力を発揮してまいります。

 結びに、仙台育英学園秀光中等教育学校の一層の御発展と加藤雄彦校長先生をはじめ、諸先生方、そして在校生の皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、答辞とさせていただきます。

 

平成28年2月28日
  卒業生代表 石野巻 諒

 
 
<close>