2004 TOPICS 国語弁論大会
   
 

動物実験について
秀光1年 今野さん(福島県原町市立第三小出身)

   
   私は最近、人から聞いたり、雑誌や新聞の投書などで、動物実験のことを知りました。私達がふだん何げなく使っているシャンプーやリンス、おもちゃや文房具など、沢山のものの裏に、恐ろしい動物実験があります。具体的な例として、ウサギは、目に果 物が入っても涙で洗い流すことができません。痛くても泣きさけぶ声もありません。その性質を利用して、ウサギの目の中に化粧品、シャンプー、リンス等を注入し、目が炎症を起こし、ただれて腐っていく様子を調べる実験が行われています。

 また、別の例では最近の「清潔」ブームのために、「抗菌剤」入りのおもちゃや、文房具、家庭用品などが大変流行しているらしいのです。しかし当然、抗菌剤には毒性があり、それが人間の体へおよぼす影響を調べるために、動物実験が行われているのです。LD50(半数致死量 )テストは、毒物を一群の動物に与えて、半数が死ぬ量を調べる実験です。麻酔は一切使わず、動物達は死ぬ まで苦しみ続けます。しかもLD50の数値は実験の条件によって非常なばらつきがあり、科学的な信頼も低いとされているのです。

 動物実験は、これだけではありません。他にも、「実験的ストレスの研究」や、ネズミやウサギのヒフに洗剤をぬ り付ける実験など、様々な種類の実験が行われています。

 私が調べた資料の中に、ある博士の証言がのっていました。そこには、「動物実験から何かを学んだという優れた外科医を、私は一人として知らない」と書かれていました。私は医学のことはよく分かりませんが、当然だと思いました。動物を平気で殺すことがで何かを学ぼうとしている人にどうして人間を治すことができるのか。どうしても動物実験をしたいのであれば、自分の体を使えばよいでしょう。そうすれば、罪もない動物の命も守ることができるし、なにより自分の体なのだから、「痛い」とか、「かゆい」などということが分かりやすいと思うのです。

 今、外国では、動物実験をしていない国も多いそうです。しかし、日本では、すごく沢山の動物が、実験のために死んでいっているのです。しかも、日本のシャンプーや化粧品などは、人体に影響がないことくらい分かりきったことなのに、「証明」のために、今も沢山の動物達が傷つき、苦しみ、死んでいっています。

 私は、特別動物が好きなわけではありませんが、動物実験についてくわしく知った時、とてもショックを受けました。しかし最近は、多くの人達が、動物実験についてよく知り、反対の運動などを行っています。私も今回の事で大変興味を持ったので、もっとよく調べてみたいと思います。

 私たちが目先の「便利さ」や「進歩」を追求する陰で、どれほど多くの動物が苦しんで死んでいき、どんな大きな生命が無駄 にされているかを、もう一度考え直すべきだと思います。