2004 TOPICS 国語弁論大会
   
 

課題
秀光1年 小南さん(石巻市立中里小出身)

   
   「キャー、ひかれる!」
 「待ってても無駄なのでこのまま車は無視して突き進みましょう」
 車のクラクションが鳴り響く中、私達はガイドさんの後を車にひかれそうになりがならも必死に付いて行きました。そう、その国は、上海です。

 私は、以前に私の家族と友達の家族と、上海へ行きました。広い道路、行き交う多くの自動車や自転車、たくさんの人々は、活気に溢れていました。上海博物館へ行ったり、買い物へ行ったりして足が疲れたので、足つぼマッサージをしに行き、疲れもすっかりとれて、お店から出てきた時には、辺りは少し薄暗くなっていました。

 迎えの車を待っている時、五人の子供たちが私達の方に寄って来ました。私と同じ年位 の女の子が私の手をつかみ「千円ちょうだい、千円ちょうだい。」と、片言な、イヤ、上手な日本語で、手作りの人形を見せながら「千円ちょうだい。」を繰り返すのです。私が日本人だと、いつの間に分かったのでしょうか。今度は「百円ちょうだい、百円ちょうだい。」と何度も繰り返すのです。周りを見渡しても大人の姿は見えませんでした。「百円位 なら。」と私と友達は深く考えもしないで、サイフを開こうとしました。すると友達のお母さんがいつになく、大きな厳しい声で「やってはダメよ!この子はこれから先、ずっとこうやって人にお金をねだって、人にこびて生きていくようになるかもしれないのよ。お金をあげることは簡単だけど、この子のためにはならないのよ。」そう言いました。その時は友達のお母さんの言うことが明確には理解できませんでした。しかし、友達のお母さんから、何か深くて、大きな課題を出されたようなショックを受け、胸がしめつけられる感じがしたのです。

 あれから二年が過ぎましたが、今も訪れた国々の事を気にするようになり、自分の視野が海外へと向くようになり、いろいろな角度から他の国を見るようになりました。ニュースや新聞などで、繰り返されるテロなどによって、たくさんの子どもたちがぎせいになっていることを、知れば知るほど、以前上海を訪れた時に感じた以上の深くて、暗くて、悲しくて、難しい大きな課題を出されている感じを未だに受けているのです。

 日本は世界の国々から厳しく批判されたりしている事もありますが、これまで日本は世界の平和のために、飢えに苦しむ人々のために、発展途上国のために、最善の努力を続けて来たと思います。そして、これからも世界の国々を応援する日本であって欲しいと思います。

 私自身、これから様々な形で世界の人々と交流を深め、分かり合えるよう努力し、共に笑ったり、泣いたりし、知恵をしぼり出し合いながら、難しい課題を一つずつ、解いていければと思います。