2004 TOPICS 国語弁論大会
   
 

美浜原発から学んだ事
秀光2年 齋藤くん(田尻町立沼部小出身)

   
 

 今年の夏はとても暑い夏でした。最近、地球温暖化という話をよく聞きます。地球が温暖化すると地球環境が変化していくそうです。気温が上がると、地球全体の水蒸気の量 が増え、地球をめぐる水の循環が変わります。地形などの、自然の条件によって大雨で洪水になる国もあれば、雨が降らずに、カラカラにかわいてしまう国も生じるそうです。

 この夏休み、環境やエネルギーについて考えさせられる大きなニュースがありました。福井県美浜で起きた原子力発電所の事故です。原子力発電所の管が薄くなる減肉現象によって蒸気がもれ、高熱で5人の人が亡くなってしまいました。

 僕は旅行中、テレビでそのニュースを見てとてもおどろきました。僕たちがいつもあたりまえのように使っている電気を作り出す発電所で5人も死んでしまうような事故が起きたからです。

 日本は原子爆弾による被害をうけた世界でただ一つの国ですが、現在、原子力が発電に使われています。僕はちょっと不思議な気がして本を調べてみました。

 原子力発電所も原子爆弾も核分裂のエネルギーを使っているそうです。もともと原子爆弾の開発中に原子力を発電に使うことが考えられたそうです。原子力発電の基本的な原理は次のようなことだと言われています。

 原子爆弾は一瞬のうちに核分裂反応を起こし大爆発し、巨大なエネルギーを発生します。一方、原子力発電は、反応が急激にならないよう、調整をしながら核分裂の熱を取り出しているそうです。核分裂する時に出るのが放射線です。生物の場合、放射線が突き抜けると細胞が傷つけられ、ひどいと死んでしまうそうです。放射線を出す物を放射性物質、出す力を放射能といいます。

 福井の事故があった次の日の新聞に「29才で亡くなった息子を返してくれ」と関西電力の社長に迫っている父親の写 真がのっていました。11人も死傷者が出たことからも、思いのほか大きな事故だったということがわかります。

 現在、ほとんどの先進国では、原子力発電所を新しく建設していないそうです。ドイツやスウェーデンなどでは新しく原子力発電所を作らず、今ある原子力発電所の運転も中止していく方針だと聞いています。

 僕は日本も原子力発電に頼らず、人にも環境にもやさしい自然エネルギーをつかっていったらよいのではないかと思います。自然の力を利用した新しいエネルギーはいろいろあるようです。風力エネルギー、地熱エネルギー、太陽エネルギー、水力エネルギー、波の力をつかった波力エネルギー、生き物を利用したバイオマスエネルギーなどです。

 今、家庭の電気使用量は、年々増えているそうです。これは製品が大型化したり、利用する台数が増えたり、なんでも電気にたよってしまうためです。私たちは、環境を守るためにエネルギーを大切に使う社会をつくらなければならないと思います。

 私たち中学生も節水や節電を心がけるなど地球環境のために小さなことから始めようではありませんか