20分という時間をいただきましたが、私ども仙台育英学園といたしましては10分以内で終わらせていただき、できるだけ細井恵さんのお父さまに時間をとっていただくことをお許しいただきたいと思います。

 今回の交通安全条例調査特別委員会の設置に関して、去る2005年5月22日午前4時15分ごろ宮城県多賀城市国道45号線で発生した飲酒運転による危険運転行為が主因となり、学校のウオークラリー大会中、青信号で横断歩道を渡っていた仙台育英学園高等学校第1学年の生徒の列に佐藤光運転の暴走車が突っ込み、3人の死亡者と22人の重軽傷者、さらに多くの高校生の心をうち砕く理不尽な交通事故が、きっかけとなったことは、本校を代表する者として、ここにいらっしゃいます議員のみなさま方に感謝の気持ちでいっぱいです。
 特に本校生徒会が中心となって県内全域で展開した「飲酒運転撲滅運動」による署名活動は現在でも継続的にすすめられ、およそ20万人もの署名が寄せられています。この事実こそ同事故が持つ反社会的行為に対する県民の意識の高さの表れと感じております。
 さらに、生徒会代表が昨年就任直後の村井県知事や当時の千葉県議会議長を訪ね、署名簿を渡し、飲酒運転の根絶を訴え、安全で安心できる日常生活の確立を託したことは、次世代を担う生徒たちの痛切な願いであることをお伝えできたと信じています。

 昨今、県内でも子どもたちが公園や空き地で無邪気に遊ぶ姿を見かけることが珍しくなってきたように感じます。小学校はもちろんのこと、中学校、高等学校の登下校時も地域の大人が彼らの安全を確保しなければならないほど、「子どもたちを取り巻く環境」は悪化しています。大人が将来を託す子どもたちを大切にしないからではないでしょうか。
 このような切迫した状況にあって、私どもが呼んでおります「5.22交通事故」は、まさに大人が子どもたちの命や将来を引き裂く残酷非道な行為だと痛切に感じます。大人同士が人道に反する行為を厳しく戒めることがなければ、子どもたちの教育は成り立ちません。何卒、県民を代表される皆さま方のお力を借りて、二度とこのような酷い事故が起きない社会の確立にご尽力くださいますようお願い申し上げます。なぜならば、あのような悲惨な「5.22交通事故」が報道機関を通して世間に広く知らされたのちも、飲酒運転による事故が発生し、被害者救援が運転者の義務となっているにもかかわらず、飲酒の事実を隠ぺいするため事故現場から逃げ去ってしまう事例が数多く起きていることを憂慮しているためであります。
 本校にいたしましても、今後も被害に遭われた生徒たち及び保護者のみなさんのお気持ちに寄り添いながら、事故による衝撃から少しでも立ち直っていただけるように、経済的なことも含めて支えていきたいと考えております。
 私見ではありますが、私たちの国が民主主義に根ざした法治国家であるとするならば、被害者家族の心情を真剣に受け止めていただくと同時に、飲酒運転による交通事故加害者が刑に服す中でどのような反省と贖罪の気持ちがあるのか、ないのか、加害者家族はその後どのように生きているのか、調べていただければと思います。なぜならば、今回の事件の加害者がそうであるように、飲酒運転常習者が引き起こした今回の交通事故の背景と原因がもっと分析され、対策が迅速かつ適切にとられていたのであれば、尊い人命が奪われずに済んだのではないかと思うからです。飲酒運転常習者を取り巻く環境の整備が、本県において他の地域に抜きん出て先進的かつ先導的であることを、議員の皆さまに期待するものでございます。
 今回の事故発生後、宮城県や仙台市の関係職員の皆さまには、本校に対しまして多大なるご支援を賜ってまいりました。おかげで本校の生徒たちも教職員も、日常の学校生活が送れるような静かなそして穏やかな学校生活が戻りつつあります。どうぞ今後ともお力を賜りますようお願い申し上げます。このような時間をとっていただけましたことを心から感謝申し上げます。ありがとうございました。