平成15年度 卒業証書授与式
 
平成16年2月28日 
多賀城校舎グローリーホール

秀光中等教育学校 

第一回卒業証書授与式においての

送辞、答辞、謝辞
 
送辞-----------------------------------------
真のグローバリストとして、
私たちがしなければならないことは…。


  厳しい冬にじっと耐えてきた木々が、深々と大地に根を伸ばし、街頭の木々も緑の芽をふき、躍動する春の鼓動が次第に高まってくるのが感じられる今日このよき日、ご卒業を迎えられた6年生の皆様、並びに保護者の皆様、本日は誠におめでとうございます。在校生一同を代表して心からお祝い申し上げます。特に本年度、我が校は、東北初の中高一貫教育を行う秀光中等教育学校として開校し、皆様は歴史に残る第一回卒業生でもあります。その意味でも重ねてお祝い申し上げます。

 小学生気分のまだ抜けない私たちをすぐ上の兄や姉として、私達の手をとって教え導いてくださったのは皆様でした。5年間という普通 の学校では考えられないような長い間、私達を優しく、親切にまた賢く指導してくださいました。先輩方は秀光祭やスポーツチャレンジなど様々な行事に対して特に活発に取り組まれた学年だったとお聞きします。秀光祭ではそれまでにない前夜祭を企画され、スポーツチャレンジでは各チームのリーダーとして全学年をまとめられるなど、私達にとって大変頼もしい先輩でした。また、秀光祭での皆様の美しい歌声は私達のあこがれでした。

 そのような、すばらしい先輩方を本日こうしてお送りできますことを私達後輩は本当に誇りに思います。

 さて本日皆様がこの学窓を巣立ち、羽ばたいていく世界は私達21世紀を担う若者にとってあまりにも課題の多い状況であると言わざるを得ません。前世紀中、21世紀は明るい未来を約束する世紀かのように思われました。しかし、今、世界の現状をみるとその予想をはるかに超えた困難な世紀が私達の前に立ちはだかっているようです。20世紀末における、冷戦の終結は、我々に明るい未来を期待させました。しかし、それ以後の、国家間における貧富の差の拡大、民族と宗教が複雑に絡み合う地域紛争など、未だに解決の糸口すら見いだせません。日本に住む我々には想像を絶する自爆テロ行為がいったいいつまで続くのか、本当に心が痛みます。また、国連を無視し思うままに行動し始める国々の出現など、本来世界のバランスを取るべき国連の機能を、いかにして回復すべきなのでしょうか。

 さらに、日本では、イラク自衛隊派遣や刑法制定以来97年ぶりの刑法大幅改正など日本という国家の枠組みまでもが変革の波にさらされようとしています。

 また、昨今の鳥インフルエンザやSARS、BSEをはじめとする人類が未だかつて経験したことのない新しい病原体がまたたくまに世界中に伝染し、そういった、病原体の問題は、すぐ食料・貿易の問題とも関連し、いかに私達が複雑な世界に身を置いているかを思い知らされます。そして、地球温暖化を初めとする環境汚染はもはやまったなしで我々に対応を迫ってきています。また、政治経済的にも各国間の経済状況は我々の日々の生活に直接影響を与えます。この様な状況において、我々秀光生は何をすべきなのでしょうか。真のグローバリストであるために、世界の現状を今まで以上に、正しく、正確に見つめ、理解し、我々が何をなすべきかを今一度確認し直す必要があります。それこそが、担うべき21世紀に生きる私達に課せられた使命だと思います。

 卒業生の皆さん。皆さんは今、それぞれの目標に向かって、大きく翼を広げて、誇らかに飛び立とうとしております。本校における6年間の一貫教育で培われた知識と経験による成果 を、実社会や大学での研究に十分に発揮され、ご活躍されますよう、私達後輩一同は、心から期待しております。先輩に続く私たちはこの秀光中等教育学校を、皆様の誇れる母校とするようにしっかり支えていく決意ですので、どうかご安心ください。

  本日の皆様の旅立ちを心からお祝いし、在校生一同を代表としての送辞といたします。

平成16年2月28日
秀光中等教育学校  
在校生代表 5年M2組 菅原
 
答辞-----------------------------------------
秀光での6年間は
確かな青春の軌跡、
そのものでした。


 厳しい冬の寒気も次第にゆるみ、梅の蕾が馥郁と香り、春の足音が近づく今日この頃です。

 本日は東北地方最初の中等教育学校である秀光中等教育学校の第一回卒業式にあたり、多くの御来賓の方々をはじめ、ゆかりある懐かしい多くの先生方の御臨席のもと、このような盛大で心温まる式を挙げて頂き誠にありがとうございました。

 また、来賓の方々からの私たちに対する励ましのお言葉、校長先生から六年間の思いを反芻させるようなお話を頂き、改めて感激いたしております。

 校長先生はこの6年間の間、陰に陽に私たち秀光生に対し、いつも暖かく、やさしい慈父のような目で接して下さいました。そのお陰で私たちは人間に対する信頼と自信を持って6年間を過ごすことができ、本当に感謝しております。

 さて、私たちは秀光三回生として入学しましが、学校創立者である加藤利吉先生の人生の夢の実現として秀光中学校は利吉先生の夢を更に一層具体化するために平成15年4月から秀光中等教育学校に改編されました。その時代に先がけた先見性を具体的に実現するために「至誠」「質実剛健」「自治進取」の建学の精神のもとに新しい気概をもって後輩の皆さまも頑張ってほしいと思っています。私たち卒業生もそのために微力ながら今後も協力を惜しまないつもりです。

 今日、過ぎ去った6年間を思い起こすと色々な思いが頭を過ります。6年前の4月、新しい学校生活に対する期待と不安に戸惑った入学式、その後1、2年合同のグリーンスクールでやさしく適確に指示する2年生の頼もしさ、そして2年生になり、今度は新入生を世話し、まとめる時の嬉しいようなもどかしさを思い出します。

 3年では前期最大の行事であるユーロスクールがありました。3週間に及ぶ貴重な異文化体験は、私のこれまでの生活や思想を変える衝撃的なものでした。スイスの教会でのチャリティーコンサートの感激、頂上まではっきりと見えたマッターホルンの壮大な眺め、何世紀もの歴史を刻むオーストリアの宮殿、イギリスでのホームステイでは私の生涯で二つ目の家族ができました。私たちのもう一つの貴重な体験は、この年の春の選抜高校野球の応援に参加したことです。我々の応援の甲斐も少しあったせいか、準優勝という栄冠を見事勝ち得ました。4年の時は京都研修に行きました。京都大学で、京大の先生の講義をお受けし、学問に対する目を開かせられました。と同時に、自分でテーマから資料集め、執筆、製本に至るまで必死になって行った8000字のレポートは私の生涯の財産となりました。一緒に京都の旅をした友人との思い出とともに私は忘れることがないでしょう。時には意見が食い違い、喧嘩や衝突を繰り返しながらも、最後にも大成功に終わった秀光祭等、秀光での6年間は私にとって確かな青春の軌跡となりました。

 しかし、秀光での6年間は私たちにとって楽しく、そして実りあるものでしたが、一方社会に目を転じますと多くの課題を抱えています。思えば二十世紀は「戦争と革命」の時代でした。また時代にレッテルを貼る「自意識過剰」な世紀でもありました。我々が主役となる21世紀は、本来米ソ冷戦の終結による平和で楽しい、国境が少しずつなくなるような時代と思われていました。しかし現実はニューヨークでのテロ事件を始め、異文化間の対立抗争を原因とするアフガン戦争等世界状勢は日々変化し、顔のない市場と大衆と国際世論がイニシアチブをとる新しい価値観の中で生きる時代となっています。国中の意見を二分した自衛隊のイラク派遣、新種の病原体の介在する牛肉、鳥肉等を巡る国際的経済問題、北朝鮮による拉致問題等、問題は山積しています。

 こんな時代に私に何ができるのか。私はいろいろ考えました。理科系の学部への進学を考えたこともありましたが、私は4月からお茶の水女子大学で心理学を学び始めます。このような時代だからこそ私は人間を信頼し、人間の善意を密かに信じて人間の問題を解明することで、この21世紀のグローバルな課題を追求し、「一隈を照らす」人になろうと思ったのです。

 加藤利吉先生は不遇な会津人として教育こそが最も時代の急務であると考え、仙台育英学園をつくられました。同じく会津人で、かつて白虎隊員でもあり、後に東大総長となった山川健次郎氏も「人を育てる道」を選びました。私も時代を意識する精神の衰えた困難な時代であるからこそ一見最も遠回りに思えるこの道を選ぼうと思います。

 最後に6年間私たちを支えて下さった校長先生はじめ多くの先生方や職員の皆さん、今日暖かく見送って下さった在校生の皆さん、私たちを見守り続けて下さった両親にも感謝の一言を添えて卒業生を代表し、答辞といたします。

平成16年2月28日
平成15年度第一回卒業生代表
齋藤
 
謝辞-----------------------------------------
身の引き締まる緊張と、
たくさんの感激・感動を…。


 ただ今ご紹介頂きました、大森茜子の父親の大森信治郎でございます。大変僭越でございますが、保護者を代表いたしまして、学園に対し、一言御礼の言葉を申し上げます。

 本日は、このような厳粛で心温まる卒業証書授与式を挙行して頂き、誠にありがとうございました。今この学園生活最後の式典の場に臨みまして、子供たち一人一人の胸に、そして保護者一人一人の胸にも、大きな感動と感慨の波が押し寄せております。

 6年前、真新しい制服に身を包んだ姿や、秀光祭の合唱コンクールでカツカレー券の争奪に一喜一憂する様子、大きな期待を胸にユーロスクールに出発した早朝の仙台駅…様々な光景が思い浮かびます。振り返れば、数々の学園生活の行事は、子供たちにはもちろんのこと、保護者の私どもにも、身の引き締まる緊張とたくさんの感激・感動を次々に与えてくれました。そうした中で子供たちが成長し、保護者の私どももまた、同時に成長させていただいたのだと思います。

 12才から18才という多感な青春の6年間をこの学園で過ごさせていただきましたことは、子供たちにとってこの上なく幸福なことであり、生涯にわたっての大切な心の糧となることでしょう。

 今子供たちは、それぞれの向かうべき道の戸口に立ち、未来に羽ばたく翼を大きく広げようとしています。これからの先の人生においては、たくさんの喜びと同時に、多くの試練も彼らを待ち受けている筈であります。そうした試練の時に、人や物事に誠実であることを、剛健な意思をもって、自らを治め、前向きに進むことの大切さを、深く実感することと思います。まさに、学園建学の精神に思いをいたすことでありましょう。6年間の学園生活で培われたものが子供たちを支え、大きな力となって、それぞれの道を切り開いてくれるものと確信しております。

 6年間の諸先生方の懇切なご指導と有り難いご厚情に対しまして、ここに衷心より感謝を申し上げます。  最後に、加藤校長先生はじめ、諸先生方のご健勝とご活躍をお祈り申し上げますと共に、仙台育英学園が100周年に向けて、尚一層隆盛、発展されますことをご祈念申し上げまして、謝辞とさせていただきます。

 6年間、本当にお世話になりました。ありがとうございました。

秀光中等教育学校
第一回卒業証書授与式
卒業生保護者代表の謝辞 大森
 
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