2005 TOPICS  京都研修
 
京都大学での体験講義【工学部】
材料科学、電子顕微鏡…。
最先端の研究に触れて、驚きの連続!
 

 京都研修では、京都大学で実際に講義を体験します。今年は、文学部、経済学部、理学部、工学部の各学部のなかから興味のある学部にそれぞれ分かれました。今回は、工学部の講義の様子をちょっとのぞいてみましょう。

 
“材料科学”の講義
   

“材料科学”とは…?
 工学部の講義をしていただいたのは、材料科学の研究をされている沼倉宏先生。工学部を志望する生徒たちも“材料科学”は未知の分野。沼倉先生は高校生にもわかるように、丁寧に説明してくださいます。
「身の回りのものはつきつめていくとすべて原子から成っています。 例えば、(と、撮影中のカメラマンのほうを指して)あのカメラもそうです。原子がどのように並んでいるとその物質の性質がどうなるかというのを理解し、用途に合った新しい物質を開発するのが、材料科学です」

   
結晶の二次元模型
「これは、結晶の二次元模型です」と先生が取り出したのは、アクリルの板のなかにスチールの小さな玉 が入った模型。
材料科学とは、原子レベルの研究です。この模型は、原子の結晶がどんな様相を呈しているのか理解する助けになります」
  先生から模型を手渡されると生徒たちは、それを振ってみたり、かざして観察したりと、熱心に見ています。
   
電子顕微鏡を見てみよう
「今日見学していただく電子顕微鏡は2種類です。物質の内部を観察する『透過型電子顕微鏡』。もうひとつは、固体表面 の分析をする『走査型電子顕微鏡』。この2つの電子顕微鏡の違いを説明していきましょう…」
  先生が板書しはじめると、生徒たちも一斉にノートをとります。
「それぞれの電子顕微鏡のしくみはわかりましたか?では、実際に見ていただきましょう
   
見学1-透過型電子顕微鏡
 2つのグループに分かれて、それぞれの電子顕微鏡を見学。こちらのグループはエレベーターで地下の研究室へ。透過型電子顕微鏡を見せていただきます。
「これは、原子の並び方などを観察するときに使う顕微鏡で、材料の開発に必要です。この装置の先端に金属でできたピンがあって…」
 最初は難しそうな“材料科学”そして“電子顕微鏡”に首をかしげていた生徒たちも、このころには、「そのピンは何の金属でできているんですか?」などと積極的に質問をしながら、お話に聞き入ります。
   

見学2-走査型電子顕微鏡
 次は場所を移動して走査型電子顕微鏡の見学。こちらはさきほどの透過型電子顕微と比べると小さめの装置です。
これは表面 を見る顕微鏡です。 サンプルにビームをあてて電子線の波長を見ます」
 広い研究室ですが、ゴウゴウという装置の音が低く響いています。お話を聞き逃さないよう注意深く耳を傾けます。

 
講義の最後に
 先生のわかりやすい講義、実際に目にした最先端の電子顕微鏡で、“材料科学”という分野に触れていち早く『大学の講義』を体験した生徒たち。最後に、工学部の講義を受けた生徒たちを代表して井上くんが沼倉先生へお礼の言葉を述べました。

井上くん
(塩竃第一小出身)

「今日の講義は材料科学を学びたいという人だけでなく、理系に進みたいと思っているものの学部や学科を決めかねている人にとっても、材料科学という普段の私たちがなじみのない分野を知るうえで非常に有意義なものでした。走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡の見学は、それについて全くわからない私たちが見ても十分にこたえるものがあり、まさに驚きの連続でした。時間が制限されているのが口惜しい限りです。本日はお忙しいなか、私たちのために非常にわかりやすく講義を行っていただきありがとうございました」