「日本芸術院会員文化庁特別講演会」が、9月14日(水)、中講義室で4,5年生(6年生は希望者のみ)を対象に実施されました。
これは文化庁の社会貢献事業「子ども 夢・アート・アカデミー」の一環として実施されているもので、美術・文芸・音楽などそれぞれの分野における最高峰の芸術家である日本芸術院会員が小・中・高等学校を訪問し、自らの体験に基づいた講話を行うというものです。
今回、講師としてお迎えしたのは、日本を代表する建築家のお一人である池原義郎先生。池原先生は早稲田大学名誉教授や日本芸術院会員としても活躍されています。
▼建築は単なる「箱」ではなく
共有の生きた空間
講演会のテーマは「環境から建築へ、建築から環境へ」。池原先生の建築家としての出発点となった白浜中学校のほか、数ある代表作のなかから所沢聖地霊園礼拝堂(1973年日本建築学会賞受賞作)・酒田市美術館・富山県総合福祉会館を例に挙げ、図面や完成後の写真などをスライドで映しながら、構想から建築へと展開していく過程など話されました。
池原先生は最後に建築に対する考え方について「私は単なる建物、箱を作っているのではない、生きた社会、空間を作っている。建築はそこに住んでいる人、利用する人たちと一体となった、共有のもの。そういうことを念頭において仕事をしています」と述べて講演を締めくくられました。
▼今後の建築の課題とは?
生徒の質問が次々と
講演会終了後に行われた質疑応答で、生徒たちは池原先生に次々と質問しました。「今の日本にはいろいろな建造物がありますが、今後の建築の課題とは?」「空間を作るとき、その場所や環境を見てから考えるのか、それとも例えば小学校などの用途によって考えるのでしょうか?」「建築のアイディアはどういうときに出てくるのですか?」などの質問に、池原先生は「建築は『建物』という物的なものではなく、心の住まう空間」という自らの信念に基づきながら、一人ひとりの質問に丁寧に答えてくださいました。
▼将来の夢と社会への憧れが
より大きくなりました
講演会の最後に生徒会長の星さんがお礼の言葉を述べました。
「お話を聴いて、建築はどれほど人間の環境とかかわり、存在しているのか、普段見慣れた風景は池原先生をはじめとする建築家の方々の創造性や空間に対する心によって作り上げられているものなんだと深く感じることができました。池原先生のお話はこれから社会に旅立つ私達にとって将来の夢と社会への憧れをより大きくするものとなりました。本日は本当にありがとうございました」。
講演会終了後、建築についてもっとお話を聞きたいという7名の生徒たちのために、別室で池原先生が一人ひとりの質問に答えてくださいました。なかなか聞けない貴重なお話に生徒たちはメモをとりながら熱心に耳を傾けていました。
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