『ポロネーズ 第6番“英雄”』について
仲道さんのお話

 

 もう1曲は英雄ポロネーズ。とても有名な曲です。ポロネーズは、ポーランドの独自の踊り。3拍子の踊りです。
 ショパンが生まれる70年前から、ショパンが亡くなった40年後までショパンの祖国、ポーランドという国は地図にはありませんでした。まわりの国に侵略されて、地図になかったのです。ポロネーズは戦いの前の戦士の踊り。国に対する誇りと忠誠心と、プライドを持って踊る曲なのです。ショパンがポロネーズを書くときにはポーランドに対するそのような(厳しく悲しい状況への)思いがこめられていたのです。
 第2次世界大戦下のワルシャワの街、爆撃に遭って廃墟と化した街の片隅、ピアノのあるところで人々が集まりショパンの曲を聴いて“また明日頑張ろう”と誓い合いました。あるときにはそれがドイツ軍に見つかってそこに集っていた人たちが皆殺しになってしまっても、また次の日には別の場所でショパンの曲を聴いて、“頑張ろう”と…。それほどに、この曲は国をこえて、時代をこえて、たくさんの人たちに勇気を与えてくれる素晴らしい曲です。